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RPA活用によるEC業務の改善事例集―自動化によって業務効率化を実現

ECの運営において、RPAの活用はどういった効果を生み出すのでしょうか。バックオフィス業務の負担によって人手不足になりがちなEC運営には、自動化できる業務が多く隠れています。その業務をRPAに任せることで効率化し、運営を安定させることが可能です。RPAがどのように役立つのかシーンごとの活用法を見ていきましょう。また、RPAを用いたEC運営効率化の事例もご紹介します。

RPAの活用でEC業務効率化を推進しよう

EC運営で行う業務では、規模の拡大や商品点数の増加によって、バックオフィスの業務フローが複雑化しがちです。個々の作業が煩雑になっていくことで人手不足に陥る可能性が高く、その結果非効率な方法で業務を続けてしまうことになりかねません。

こういった課題に対し、解決策となるのがRPAの活用です。RPAを活用することによって、EC業務において人手不足の原因となっている作業を効率化、自動化し、ECの運営を安定化させることができます。そこで今回は、RPAを活用してEC業務の効率化に成功した具体的な導入事例をご紹介していきます。

※RPAによってEC運営を効率化する手法については「EC業務の課題と解決策―RPAの活用でECサイト運営はどのように変わる?」をご覧ください。

EC業務の課題と解決策―RPAの活用でECサイト運営はどのように変わる?

データ抽出・レポート作成などを自動化

データ管理に関する導入事例と活用法をご紹介します。

事例1 売上の集計をシートに入力

複数の大手ECサイトに店舗を持つ場合、それぞれのサイトでの売り上げデータや配送料の情報を集計するのは手間のかかる作業です。ある企業では、それぞれのECサイトから取得したデータを自社の管理シートに転載し、商品番号の突き合わせをするという作業を手作業で行っていましたが、売り上げ増加とともにこの作業の量も増えていき、負担が大きくなっていました。

そこで、各ECサイトからのデータ取得をRPAによって自動化しました。また、各ECサイトから売り上げデータを取得するだけでなく、配送サイトからの配送料データの取得と統合、管理シートへ自動入力を可能にしました。これにより担当者が大量の手作業から開放されただけでなく、ミスのない安定的な作業が可能になったのです。

スムーズなスクレイピングへの活用

スクレイピングへの活用法もご紹介します。ECサイト運営において、競合他社や自社商品の関連データなど、把握しておきたい情報は多いです。しかし、個別にWebサイトを回って情報を取得するのは手間が大きい作業です。そのような場合に、RPAによって市場の価格調査や他社の出品情報などのデータを、Web上から自動で抽出してデータベースを作成することができます。トレンドや競合他社の状況を知ることで自社サイトの運営に役立てることができるでしょう。

また、RPAを活用すれば夜間にスクレイピングが可能なので「朝出社したらデータベースが整っている」状態にすることも可能です。

サイトレポートの自動作成に活用

データ抽出の活用法をもうひとつ見ていきます。例えば、ECサイトを更新した場合のレポートのRPAによる自動作成です。

ECサイトの運営を成功させるには、常に改善を続け顧客の利便性と購買意欲向上を図るとともに、検索順位での優位性もあげていかなければなりません。そのためにはデータの自動収集から一歩進んで、サイトレポートから仮説検証を繰り返す必要があります。日次レポートをRPAによって自動で作成することで、仮説検証に時間を取ることができ、更なる改善につなげていくことができます。

ステータス更新やキャンセル処理の自動化

続いて、連携が課題になりがちなステータス更新やキャンセル処理におけるRPAの導入事例です。

事例2 配送ステータス更新

自社でECサイトを運営するある企業では、配送ステータスを取得する作業と、サイトに反映する作業を手作業で行っていました。しかし、売り上げの増加とともにこの作業が大きな負担となったため、自社で開発したAPIによって処理していましたが、このAPIの開発にも手間と時間が割かれていました。

そのため、まずRPAによって、配送サイトから配送番号ごとの配送ステータスを定期的に確認できるようにしました。また同様に、自社サイトと配送会社サイトのステータスを照合し、差異があれば自社サイトのステータスを変更する仕組みを作りました。これにより、受付・発送待ち・発送済みといったステータス情報が最新の状態に自動更新されるようになり、業務効率化だけでなく顧客満足度の向上にもつながりました。

事例3 在庫管理システムからの返品対応

返品対応は、「返品リストを取得」「在庫管理システムへの反映」「顧客対応」などと、作業フローが長いという特徴があります。顧客の信頼を損なわないためには迅速な処理が望ましいですが、それを実行するのは簡単ではありませんでした。

ある企業では、その課題をRPAによって解消しました。返品された商品のリストを取得し、注文番号からたどって該当の注文をキャンセルする仕組みを作ったのです。同時に、返品理由に合わせたテンプレートメールをお客様に自動送信し、作業負担軽減とともに顧客対応のスピードアップも実現しました。

事例4 ECサイトの出品情報取り下げ

ECサイトにおける出品情報取り下げに、RPAを活用したケースもあります。中古の商品は1点ずつ状態が異なり、その商品が売れた時点で売り切れとなります。複数のECサイトやオークションサイトに出品している場合、一点物の中古品が売れたときは速やかに他サイトの出品を取り消さなければなりません。しかし、人の手でスピーディーに対応するのには限界がありました。

ある企業では、課題を克服するためにこの作業をRPAによって自動化しました。購入通知メールから商品情報を取得し、自社のデータベース上で購入済みに変更します。それと同時に、出品しているECサイトにログインして出品情報を取り下げる仕組みです。

リアルタイムに情報が反映されるため二重購入・落札のトラブルがなくなり、作業負担の軽減とともに確実性も向上しました。

ECサイトのメール対応を自動化

ECサイトという特性上、メール対応は重要です。どのような自動化があるのでしょうか。

事例5 メールからECサイトへの受注情報登録

自社の受注管理システムと連携していないECサイトがあった企業の事例です。連携していないECサイトからの注文については、注文メールを担当者が確認したうえで受け付けていました。

そのため、どうしてもタイムラグが発生してしまっていたのですが、RPAによって、注文メールに記載されている注文番号から詳細情報を取得し、受注の処理を行えるようにしました。また、用意しておいたテンプレートメールに情報を記載して自動返信する仕組みも作りました。

手作業による手間が削減され、受注のタイムラグをなくしただけでなく、登録漏れのようなミスの防止にもつながりました。

事例6 届いたメールを条件によって処理

続いて、ECサイトの問い合わせメール対応に追われていた企業の事例です。

メールは一連の業務の起点となることが多い一方で、イレギュラー対応が必要な場合もあります。内容がまちまちであると、重要な内容のものが処理されず埋もれてしまう危険もあり、担当者のストレスとなっていました。

そこで、RPAによって特定の条件に合致したメールをシステムへ転送し、自動で管理システムに登録する仕組みを作りました。これにより、メール見落としによる対応の抜け漏れをなくすことができました。また、業務の起点となるメールの処理が効率化されたため、業務全体のスピードアップにもつながりました。

ポータルサイトの活用事例

宿泊予約や中古販売などといったポータルサイトにおいても、RPAで業務改善が図れます。

事例7 宿泊予約サイト間の予約状況を連携

複数の旅行予約サイトに登録し、情報を掲載していた宿泊施設の事例です。このケースでは1つの予約サイトで予約があると、ほかのサイトにログインし手作業で予約枠を削除していました。

この作業をRPAによって自動化しました。1つの予約サイトで予約があると、そこから届いたメールをもとに日時情報を取得し、ほかの予約サイトの予約枠を自動で削除する仕組みです。予約が増えた場合にも作業者の負担やミスが増えず、確実に対応できる体制を整えることができました。

事例8 中古車販売ポータルサイトに車両情報を登録

中古車情報を掲載するポータルサイトにおける事例です。ポータルサイトでは、常に最新情報を掲載しておかなければなりません。しかし、大量の中古車を保有する販売店から掲載依頼があった場合に、数万件もの中古車情報を新規に登録するのは時間がかかります。

この作業を軽減するために、RPAによって「販売店が保有する車両情報」を自動で取得し、さらにポータルサイトへも自動で登録するようにしました。この事例では、クラウド型のRPAを導入したことがポイントでした。クラウド型RPAなら、一時的に同時稼働数を増やすことが可能だからです。大量の登録が必要なる大口契約も安心してこなせるようになりました。

EC業務効率化においてPRAはさまざまな可能性を秘めている

RPAの活用によってECサイトの運営がどのように効率化できるのか、シーンごとの事例をご紹介しました。

ECサイトの運営では、煩雑な作業が積み重なって日々の業務に追われるようになってしまうことが少なくありません。そのような状態に陥ってしまうと、改善に着手する余裕を失ってしまいます。そのままの状況では販売機会の損失や利益拡大の機会を失ってしまうかもしれません。

ECサイトの運営は、RPAを活用することによってさまざまな業務の効率化が可能です。課題となっている業務を洗い出し、RPAによって人員にかけるコストを増やすことなく効率化を図る方法を検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

Chiho Suzuki
Chiho Suzuki

2021年にオートロへジョイン。マーケティング領域に幅広く携わり、戦略策定から各種施策の実行まで一気通貫で行っています。最近はゲームと釣りにハマっています。