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反社チェックをGoogleで!進め方と手順を要チェック

近年、各企業における反社チェック(コンプライアンスチェック)の重要性が増しています。自社の反社チェック体制を、各種の法律や規制に準じてアップデートする必要を感じている企業も少なくありません。

しかしそうとはいっても、反社チェックの専門データベースを導入したり、専門企業へ依頼をしたりと、いきなり高額な費用をかけて始めるのはとても大変です。この記事では、まずは誰でもアクセス可能なGoogleで調査をする方法を解説します。

反社チェックとは

反社チェックとは、企業の取引先や従業員、株主といった関係社に反社会勢力がいないかを確認する一連のチェックを指します。政府の指針(2007年『企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針』)や各都道府県条例に基づく措置によって、反社会的勢力への資金力への遮断が各企業に求められており、反社会勢力と取引関係があると罰則や行政指導を受ける恐れがあります。

反社チェックとは?チェック範囲から具体的な方法、効率化のコツまで

反社チェックをGoogleで行う際に知っておくべきこと

このような反社会的勢力の調査をGoogleで行う場合、Google検索でできること・できないことを明確に理解する必要があります。

ネット検索である程度の反社チェックは可能

近年インターネット上には大量の情報が公開されており、ニュース各社のweb記事のほか、各機関の公開情報、ブログやSNSなど、様々な経路で情報にアクセスすることができます。もちろん反社チェックの精度を高める有償ツールも存在しますが、データベースが「インターネット検索」のみの有償ツールの場合、ツールを入れても調査範囲が広がるわけではありません。その点では、自力でGoogle検索をすることで反社チェックをするというのも、さほど無理な話ではないのです。

非公開情報・専門情報の必要性は要検討

ただし、インターネット上に公開されている情報がすべてではありません。有料で情報を公開している新聞・雑誌を検索できるデータベースや、非公開専門情報を調査する専門業者には、無料のネット検索にはない情報が多数掲載されています。Google検索のみで反社チェックを行うということは、これらの情報にアクセスせず「インターネットに公開されている情報」のみを頼りに調査を行うということです。無料で反社チェックを行う分、ある程度情報が限られているというリスクがあることを認識して下さい。

これらの特性を理解したうえで、どの程度のリスクを許容するか?自社の取引先の情報はネット上でも十分とれるか?などを十分に検討し、有償ツールを用いるかどうか選択しましょう。

Google検索での反社チェックの進め方

さて、前述のような特性を理解したうえで、反社チェックをGoogleで行う手順を解説していきます。

手順1:検索条件を設定

Googleで検索対象となる情報を入力し、検索します。

ここでの検索対象は、社名や代表者名、社内外の取締役名、株主名などが考えられます。検索すべき対象や調査する検索数は様々考えられますので、自社がとれるリスクの範囲と工数に基づいてルール化しましょう。一例として、ある企業では上場準備期間に主幹事証券から「社名と代表者名を10ページ目まで」と指示されたそうです。

また、検索語句は検索対象だけでなく、コンプライアンス違反を強く疑わせるような言葉と掛け合わせで検索することが、調査の質をあげるコツになります。掛け合わせる言葉も業界によって違いがありますので、掛け合わせ語のリストも作っておくと良いでしょう。一般的には、下記のような語句を「アンド検索」「オア検索」を組み合わせて調査します。

“検索対象” 行政指導 OR 送検 OR 捜査 OR 逮捕 OR インサイダー OR 架空 OR 脱税 OR 申告漏れ OR 罰金 OR 暴力団 OR ヤクザ OR 容疑 OR 反社 OR 事件 OR 違法 OR 違反 OR 疑い OR 偽装 OR 行政処分 OR 告訴 OR スキャンダル OR 罪 OR 不正 OR ブラック

Google検索では、何も記号を付けずに二つの単語を並べると「アンド検索(二つの言葉が含まれる検索結果を探す)」になります。二つの単語の間にORと書くことで、これを「オア検索(二つの言葉のどちらかが含まれる検索結果を探す)」に変え、条件を広げて検索結果を出すことができます。

また、普通に単語を記入して検索すると「単語の一部が使われた、似たような検索語での検索結果」も表示されてしまいます。会社名など完全一致で検索したい情報については、単語を“”で囲むと、その言葉が含まれた情報だけを確実に探すことができます。

手順2:検索結果の個別チェックと証憑保存

検索を実行したら、検索結果に怪しい情報がないかを目視で確認します。特に怪しい情報が無ければこれで反社チェックを終えて問題ありませんが、懸念のある情報が見つかった場合はさらに個別の調査が必要です。また、何かあれば暴追センターや警察へ相談することを検討してください。

また、チェック内容に問題がなかった場合でも、確認した内容はPDFなどにして保存しましょう。自社がどのような調査を行ったかを示す証跡として残す必要があります。

手順3:定期的な再チェック

通常、反社チェックは新規に取引を始める企業に対し契約時に行われることが多いですが、契約開始後にに反社勢力とつながりができる可能性もゼロではありません。したがって、一回っきりの反社チェックでは不十分です。契約更新時の再チェックや、年一回など定期チェックなど、こまめに確認を行うようにしましょう。

Google検索の反社チェックは「工数」がネックになりやすい

膨大な検索、目視による全件チェック、証憑保存といった作業が必要なGoogle検索。これらをさらに再チェックまで行うとなると、ネックになるのが工数です。Google検索は無料で行える分、社内の人手頼みになりがちで、取引先数が増えてくるとチェックが回らなくなったり調査の精度が落ちてしまう恐れもあります。

このような場合、完全に無料で行うのではなく、RPAを使ってある程度の自動化を行う企業も少なくありません。RPAを使った反社チェックの効率化については下記もご確認ください。

Google検索での反社チェックをRPAで自動化。月500時間の作業削減に!

終わりに

Google検索をうまく使いこなせば、無料で反社チェックを行うことは可能です。ただし、インターネットに存在するデータがすべてではないこと、工数がネックになりやすいことなど、無料ならではのボトルネックには十分注意してください。工数の問題はRPAの活用によっても解消できますので、是非検討してみてください。

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